IoT分野で注目されている低速度通信の規格LPWA
最近は、高速通信が可能となる5G通信の整備が進められています。無線通信は次世代のWi-Fiが開発されるなど、次世代の高速通信技術が次々誕生しています。しかし、IoTの分野ではその逆をいく低速度通信規格LPWAが注目されています。低速通信とIoT、LPWAについてご紹介します。
LPWAとは
LPWAは、Low Power Wide Areaの略で、LTEやWi-Fiなどの高速無線通信技術とは逆に、100bps程度とインターネットがなかった時代のダイアルアップ接続並みの超低速度の無線通信技術です。利用する周波数帯は920MHz帯で、最もつながりやすく、遠くまで電波が届くといわれているプラチナバンド付近であり、少ない電力で遠くまで電波が届くのが特徴です。LPWAは、超低速通信のかわりに、少ない電力で遠くまで電波が届き、広い範囲で使える通信技術といえます。
省電力である
プラチナバンドで超低速通信なため、電力消費が少ないのがLPWAの特徴です。その省電力性は他の通信技術とは比べ物になりません。LPWAを行う端末に電池を搭載すると10年間駆動できるサービスもあるほどです。これだけ省電力であるとメンテナンスフリーなIoT端末の開発も可能になります。電気配線がひけない場所にIoT機器を設置する場合は、電池を使って電力を供給するしかありませんが、電池交換の頻度が高いとメンテナンスの手間がかかってしまいます。なかなか行けない場所に設置してあるIoT機器だと簡単に電池交換ができないことも多々あるでしょう。そのような場合には、10年間電池交換不要というのは大きなメリットになるでしょう。
超低速通信でも問題ないのか
IoT機器は、今どきの高速無線通信を使用しないときちんとデータ送信できないと思っている人もいるのではないでしょうか。IoT機器が送信するデータは、実はそれほど多くありません。たとえば、温度を送信するIoT機器を考えた場合、温度データを毎分送信するとしても、気温が5度であれば、5という数値。25度であれば、25という数値データしか送っていません。データといえるほどの通信をしているわけではないので、Wi-Fiや5Gは不必要なのです。LPWAの超低速通信はこうしたIoTのためにあるといっても過言ではないのです。
LPWAでコストダウン
IoTシステムではインターネットに接続する機器が多いため、接続するためのコストが増えてしまうおそれがあります。4GやWi-Fiを使用すると回線の基本料だけで5,000~6,000円必要になるでしょう。これを装置ごとに契約していてはランニングコストが膨大になってしまいます。LPWAは年間100円から使えるプランがあるなど、桁違いのコストで導入が可能です。LPWAを活用すれば通信コストを気にしないIoTシステムが構築できるでしょう。